研究課題名:心房細動症例における甲状腺機能と予後への影響

  • 研究課題名:心房細動症例における甲状腺機能と予後への影響

     

    ・はじめに

     甲状腺中毒症は、血液中の甲状腺ホルモンが過剰となる病態です。甲状腺中毒症は心房細動や心不全の危険因子と言われ、甲状腺中毒症では10-25%に、心房細動が合併すると報告されています。さらに最近の欧米からの報告では、正常範囲内であっても血中甲状腺ホルモンレベルのわずかな上昇が心房細動の危険因子かもしれないとも言われています。よって心血管への合併症が高率である甲状腺中毒症は特に高齢者でその管理が重要となります。甲状腺中毒症の原因は、バセドウ病、機能性甲状腺結節、破壊性甲状腺炎、薬剤性など様々ですが、日本人では特に高齢者ではバセドウ病が多く、欧米では機能性甲状腺結節が多いなど、地域や人種により原因は異なります。さらに心房細動の患者さまで、どのぐらい甲状腺中毒症が合併しているか、あるいはどのような原因の甲状腺中毒症が合併しているかなど、日本人ではほとんど検討されていません。本検討では、群馬県立心臓血管センターでカテーテルアブレーションを施行された心房細動の患者さまの甲状腺機能やその病因などのカルテデータを元に、日本人の心房細動の原因として甲状腺中毒症がどのようなかかわりを持っている解明する事を目的としています。さらに、日高病院検診センターの検診受診者さまの検診データを心房細動のない被験者のコントロールとしてあわせて解析することを目的としています。

     こうした研究を行う際には、診断や治療の経過中に記録された病名、投薬内容、検査結果など人の健康に関する情報(「情報」といいます)を用います。ここでは、既に保管されているこうした試料や情報の利用についてご説明します。

     

    ・研究に用いる情報の利用目的と利用方法について

    群馬県立心臓血管センター

     2013年4月1日〜2018年3月31日までに群馬県立心臓血管センターにてカテーテルアブレーションを施行された心房細動の患者様の診療録を電子カルテで調査し、心房細動の患者様にどのぐらい甲状腺中毒症の合併があるか、甲状腺中毒症の重症度や原因はどのようになっているか、甲状腺中毒症を合併した心房細動の患者さまでは、心房細動の経過はどのようになっているかなど調査します。

     

    日高病院

     2003年4月1日〜2013年3月31日までに、日高病院検診センターに受診された検診受診者さまの検診データを調査し、日本人健常人での心房細動合併率や群馬県立心臓血管センターの患者様のデータと比較するために、心房細動を認めない健常人での甲状腺機能異常の頻度など調査します。

     

    ・研究の対象となられる方

    群馬県立心臓血管センター

     2013年4月1日〜2018年3月31日までに群馬県立心臓血管センターにてカテーテルアブレーションを施行された心房細動の患者様で20歳以上の成人を対象とします。本検討では、2000例の参加を予定しています。

    日高病院

     2003年4月1日〜2013年3月31日までに、日高病院検診センターに受診されたTSH,FT4を測定された検診受診者さまで20歳以上の成人を対象とします。

    本検討では、20000例の参加を予定しています。

     

     

    ・研究期間

    研究を行う期間は医学部長承認日より2023年3月31日までです。

     

    • 研究に用いる情報の項目

    群馬県立心臓血管センター

    電子カルテの診療録から血液検査、尿検査所見、性別、年齢、既往症、合併症、生活習慣(喫煙、飲酒)歴、薬物服用歴、家族歴など、治療経過などの情報を研究に用います。

     

    日高病院

    受診者さまのデータ化された検診項目(血液検査、尿検査所見、性別、年齢、既往症、合併症、生活習慣(喫煙、飲酒)歴、薬物服用歴、家族歴など)の情報を研究に用います。

     

    ・予想される不利益(負担・リスク)及び利益

    この研究を行うことで患者さんに日常診療以外の余分な負担が生じることはありません。また、本研究により被験者となった患者さんが直接受けることのできる利益及び不利益(リスク)はありませんが、将来研究成果は心房細動の甲状腺中毒症の関与の解明及び新しい治療法や診断法の発見の一助になり、多くの患者さんの治療と健康に貢献できる可能性があると考えています。また、対象者さまに謝礼などはございません。

     

     

    ・個人情報の管理について

    対象となることを希望されない対象者さまの申し出を受ける期間の後(2018年10月31日まで)、個人が特定できる情報は、群馬県立心臓血管センター、日高病院の各施設で破棄され、個人が特定できない匿名化された状態で、研究を行う群馬大学に情報が提供されます。さらに、これらの匿名化された情報も含め、情報の採取、管理の過程では、個人情報の漏洩を防ぐため、群馬県立心臓血管センター、日高病院においては、個人を特定できる情報を削除し、データの数字化、データファイルの暗号化などの厳格な対策を取り、第三者が個人情報を閲覧することができないようにしています。

    また、本研究の実施過程及びその結果の公表(学会や論文等)の際には、患者さんを特定できる情報は含まれません。 

     

    情報の保管及び廃棄

     対象者さまのデータは各施設の個人情報管理者によって匿名化されます。匿名化された情報は、群馬県立心臓血管センター、日高病院の各施設より群馬大学大学院医学系研究科内分泌代謝内科学に提供されます。群馬県立心臓血管センター、日高病院の各施設では、個人情報に関わる資料が、各施設の個人情報管理者により鍵のかかる棚に一定期間(対象となることを希望されない対象さまの申し出受付期間)保管され、その後速やかにシュレッダーなどで個人が特定できないように破棄されます。

     本研究で得られ、群馬大学に提供された匿名化された資料は、群馬大学大学院医学系研究科内分泌代謝内科学でロックのかかるパソコンで永年保管されます。資料を将来別の研究で用いる可能性がある場合は、改めてその医学研究を倫理委員会で協議し承認を得た後に利用する可能性があります。

     

    群馬大学 管理責任者

    群馬大学医学部付属病院 患者支援センター 助教 中島康代

     

    ・研究成果の帰属について

    この研究により得られた結果が、特許権等の知的財産を生み出す可能性がありますが、その場合の特許権等は研究者もしくは所属する研究機関に帰属することになり、あなたにこの権利が生じることはありません。

     

    ・研究資金について

    この研究を行うために必要な研究費は、内分泌代謝内科学 教授 山田正信 寄付金から提供されています。

     

    ・利益相反に関する事項について

    研究グループが公的資金以外に製薬企業などからの資金提供を受けている場合に、臨床研究が企業の利益のために行われているのではないか、あるいは臨床研究の結果の公表が公正に行われないのではないか(企業に有利な結果しか公表されないのではないか)などといった疑問が生じることがあります。これを利益相反(患者さんの利益と研究グループや製薬企業などの利益が相反している状態)と呼びます。この研究の利害関係については、群馬大学利益相反マネジメント委員会の承認を得ております。また、この研究過程を定期的に群馬大学利益相反マネジメント委員会へ報告などを行うことにより、この研究の利害関係について公正性を保ちます。

     

    ・「群馬大学 人を対象とする医学系研究倫理審査委員会」について

    この研究を実施することの妥当性や方法については、多くの専門家によって十分検討されています。群馬大学では人を対象とする医学系研究倫理審査委員会を設置しており、この委員会において科学的、倫理的に問題ないかどうかについて審査し、承認を受けています。

    (ホームページアドレス:https://www.rinri.amed.go.jp/

     

    ・研究組織について

    この研究は、群馬大学大学院医学系研究科内分泌代謝内科学(責任者 山田正信)を代表として、群馬県立心臓血管センター、日高病院検診センターの3施設の共同研究として実施されます。

     

    この研究を担当する研究責任者、研究分担者は以下のとおりです。

            研究責任者 

                    所属・職名:医学系研究科内分泌代謝内科学 教授

                    氏名:       山田正信

                    連絡先:     027-220-8120

     

            研究分担者

                    所属・職名:医学部附属病院 患者支援センター 助教

                    氏名:       中島 康代

                    連絡先:     027-220-8120

     

     共同研究機関

            研究分担者(群馬県立心臓血管センター 研究責任者)

                    所属・職名:群馬県立心臓血管センター 院長

                    氏名:         内藤滋人

                    連絡先:       027-269-7455

     

        研究分担者 (日高病院検診センター 研究責任者)

                    所属・職名:日高病院検診センター センター長

                    氏名:         阿久沢まさ子

                    連絡先:       027-362-6201

     

     

     

     

    ・研究対象者の権利に関して情報が欲しい場合あるいは健康被害が生じたときに連絡をとるべき相談窓口について

    研究対象者がこの研究および研究対象者の権利に関してさらに情報が欲しい場合、または研究対象者に健康被害が発生した場合に、研究対象者が連絡をとる担当者は下記のとおりです。何かお聞きになりたいことがありましたら、どうぞ遠慮なくいつでもご連絡ください。

    試料・情報を研究に用いることについて、対象者となることを希望されない方は、下記連絡先までご連絡下さい。研究対象者とならない場合でも不利益が生じることはありません。

     

    【問合せ・苦情等の相談窓口(連絡先)】

            所属・職名:医学部附属病院 患者支援センター 助教        

            氏名: 中島康代         

    連絡先:群馬大学大学院医学系研究科内分泌代謝内科学

           〒371-8511群馬県前橋市昭和町3-39-15

             027-220-8120

     

    上記の窓口では、次の事柄について受け付けています。

    (1)研究計画書および研究の方法に関する資料の閲覧(又は入手)ならびに  

       その方法  ※他の研究対象者の個人情報および知的財産の保護等に支

       障がない範囲内に限られます。

    (2)研究対象者の個人情報についての開示およびその手続(手数料の額も含

       まれます。)

    (3)研究対象者の個人情報の開示、訂正等、利用停止等について、請求に応

       じられない場合にはその理由の説明

    (4)研究対象者から提供された情報の利用に関する通知

       ①試料・情報の利用目的および利用方法(他の機関へ提供される場合は

        その方法を含む。)

       ②利用し、または提供する情報の項目

       ③利用する者の範囲

       ④情報の管理について責任を有する者の氏名または名称

       ⑤研究対象者またはその代理人の求めに応じて、研究対象者が識別され

        る試料・情報の利用または他の研究機関への提供を停止すること、お

        よびその求めを受け付ける方法